震災時の倒壊・火災の拡大による被害が懸念される「木密」地域。木密地域では過去に災害における大きな被害を受けている地域もあり、老朽化した建物の倒壊や火災による燃え広がりを防ぐため、危険な木密地域を中心に自治体でも様々な対策を行っています。

特に木密が広がり危険な密集市街地が多い東京では、2020年を目標に木密地域不燃化10年プロジェクトを自治体と連携して取り組んでいます。私たちの暮らしに大きく影響する木密地域に関して、東京を中心に問題点と対策・今後の課題を抑えておきましょう。

木密地域とは

木密地域(もくみつちいき)とは「木造住宅密集地域」のことで、市街地において木造住宅が密集している区域のことを指します。木密地域は第二次世界大戦、及び震災での被害が少なかった場所に多く見受けられます。高度経済成長期に大都市への労働が集中したことにより、無秩序に建築物が建てられたことが木密の要因と考えられています。

木密の基準は地域によって多少異なりますが、木密地域は全国の市街地に広がっています。国土交通省が2012年に公表した「地震時等に著しく危険な密集市街地」では、全国で197地区・5745ヘクタールに及びます。防災上危険性が高い密集地域の特徴として、狭い敷地に老朽木造住宅が多く立ち並んでいることが挙げられています。

国土交通省:地震時等に著しく危険な密集市街地

内閣府:地震時等に著しく危険な密集市街地について

危険な密集市街地が特に集中しているのが東京で、、113地区・1683ヘクタールを占めています。また、東京では木密は山手線外周部を中心に帯状に分布していて、不燃領域率60%未満の地域を木密としています。都市直下地震が懸念されていることから、東京では燃え広がらない・燃えない街づくりを目標に「木密地域不燃化10年プロジェクト」を区と連携して行うなどの対策を行っています。

震災時の危険性

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木密地域(木造住宅密集地域)において地震が起きた際、倒壊・火災・災害時の活動困難の3つが危険視されています。木密地域は現在の耐震基準を満たしていない、老朽化した木造建築物が並ぶ地域も多いため、地震が起きたとき建物が傾いたり倒壊する危険が高いと考えられます。

時代背景もあり無秩序に建物が建てられた結果、幅員の狭い細街路や隣り合った住宅がほぼ密着している木密地域も見受けられます。地震によって火災が発生した場合、木造という構造・建物が密集している密度・広幅員道路や公園が少ないなどの条件が重なる事で燃え広がり、被害が拡大する恐れがあります。関東大震災でも、木密地域では多発した火災が強風で広域に燃え広がって、火災による死者は約9割に及びました。

狭い道路において建物の倒壊や火災がおきて道をふさいでしまうと、人々の避難が難しくなり救急車や消防車が通行が困難になります。結果的に、木密は火災の広がりや建物の倒壊以外にも、消化活動や救助活動が遅れてしまう可能性が高いというリスクを含んでいるのです。

木密地域での被害

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引用:毎日新聞

2016年4月、新宿歌舞伎町の飲食店が並ぶゴールデン街で火災が発生したことが報じられました。4月12日の昼頃、歌舞伎町1丁目の木造二階建ての改装中の店舗が火元となり、約4棟300平方メートルが焼け現場近くの女性が軽症を負いました。消防車やヘリなど約41台が消火活動にあたり、道幅が狭く消防車が火元まで通行出来ないことも起因して消火までに約4時間を要しました。

放火によるゴールデン街火災の報道を受け、古い木造長屋等の建物に多くの店舗が密集しているゴールデン街を含めた、木密地域の防災対策が改めて見直されました。木密の繁華街での火災は過去にも各地で発生しており、歴史的な価値やコミュニティーの存続と、現実問題どう防火対策を行うかが懸念されています。

木密地域不燃化10年プロジェクト

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東京都では大きな災害に備え、危険性が高く改善が必要な地域を「不燃化特区」と定めて不燃領域率を70%にすること等を目標に、市区と連携して様々な活動や支援を行っています。

東京での災害リスク

もし東京の木密地域で震災が起きた場合、どのような被害が考えられるのか活字で見ても想像に限界があります。東京都チャンネルでは、もし首都の木密地域で災害があった場合、どのような被害が想定されるのか映像で伝えています。

木造住宅の倒壊に路面の被害・倒壊した家屋や飲食店街からの出火と時間ごとの延焼拡大が生々しく描写されており、木密住宅での災害の危険性を呼び掛けています。また、東京都では地震に関する地域危険度測定調査が行われていて、地域ごとの地震がおきた時の危険度を公表しています。お住いの地域がどう区分されているかを知り、自治体と協力した街づくりと共に、一人一人が日頃から備えを行うよう心がけることが重要です。

地域危険度マップ

 

プロジェクトの概要

木密地域不燃化10年プロジェクトでは、木密地域の改善を促し燃え広がらない・燃えない街づくりを目指して、重点的に改善が必要な地域を「不燃化特区」と指定して取り組みを行っています。

木密地域不燃化10年プロジェクトにおける取組:東京都市整備局

不燃化特区はそれぞれの地域で決まられており、老朽化した建物の除却(解体)や建替え・住替えなどに支援をしています。また、道路の整備や都税の免除措置として、固定資産税・都市計画税の減免を行っています。

要件を満たした場合は解体費用の一部や、地域によっては解体費用に全額の補助が受けられるケースもあります。不燃化特区であることや、定められた条件を満たした場合に期間限定で受けられる支援なので、お住まい又は所有されている不動産の地域での確認が必要です。

まとめ

木密地域での震災時の倒壊や火災の危険性と、対策として行われている木密地域不燃化10年プロジェクトを見ていきました。全国に木密地域は分布されていますが、中でも東京は山手線外周部を中心に帯状に木密が広がっており、危険な密集市街地は1683ヘクタールを占めています。

木密における防災対策として、東京では木密地域不燃化10年プロジェクトを市区と連携して取り組んでいます。自治体での対策を実施すると共に、個人の防災対策や避難経路・避難場所の再確認など、一人ひとりが防災意識を高めることも重要です。

防災の為の整備が第一とされる一方、地域のコニュニティーや歴史を保ちたいという地域住民や店舗経営者の想いや、新築を建てる・改修工事を行うことがことが難しいケースの対策が、課題の一つとして挙げられるのではないでしょうか。