老朽化した家屋が自然倒壊する危険

2016年9月に、岐阜県大垣市で、民家が突然崩壊してしまうという出来事がありました。
倒壊した民家は築95年、3世帯が入居できる長屋の借家で、老朽化が進んでいました。幸いにも、この民家に住んでいた男性は、当時外出をしていて無事でした。

https://www.youtube.com/watch?v=4qKe6L1dFbM&list=PL3ZQ5CpNulQmTfg3WudNd6hbwfRKEo1LS

このように家屋が突然自然倒壊してしまうという今回のような出来事は、空き家が増加している現在、他人事ではないでしょう。老朽化した空き家を所有している方は大丈夫でしょうか。
家屋が老朽化してしまう要因や確認しておくべきポイントを抑えておきましょう。

家屋が自然倒壊する可能性と要因

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木造住宅が倒壊した現場を捜索する警察、消防関係者ら=26日午後、大垣市代官町で

引用:中日新聞

今回、男性が住んでいる民家の倒壊は、老朽化による突然の出来事でした。しかし、築年数が長いからといって、このように家屋の自然倒壊は起こり得るものなのでしょうか。家屋が自然倒壊する可能性と要因をご紹介します。

家屋の湿気

家屋が自然倒壊するということは、やはり老朽化は要因の1つとなります。
老朽化が早まる原因に「湿気」が挙げられます。
家屋は、実際に住んでいる人がいるときに比べ、空き家になると自然崩壊の可能性は更に高まります。
空き家の場合、住宅の開口部が締め切られていることから、湿気が内部にこもり、滞留して老朽化が進みやすいと考えられるからです。

今回の民家倒壊のニュースにおいても、「最近の雨の影響か、2日ほど前からミシミシときしむ音がしていた」と、住人の男性が話しています。したがって、台風が続いたり、梅雨の時期においては特に老朽化が顕著に表れます。

シロアリによる被害

シロアリの被害を受けやすい箇所になるのは、床下の湿った環境に置かれた「家屋の土台」、お風呂場などの「水回り」、「家屋の直接雨がかかる部材」です。
国土交通省が過去に発表した試算によると、日本は欧米に比べ、家屋の平均寿命が大幅に短いというデータがあります。シロアリは、暖かく湿ったところを好むので、やはり高温多湿である日本の気候は、生物劣化を受けやすいといえるでしょう。

倒壊が起こりやすい家屋の状況

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自然倒壊まではいかないものの、地震や災害の影響で倒壊しやすい家屋は、家の老朽化以外にどのような特徴があるでしょうか。

1つ目は、壁の量が少ないことから、地震力に対抗する「耐力壁」が足りない家屋です。耐力壁だけでなく、壁の配置バランスも重要となってきます。デザイン重視の住宅のしたがゆえに、部分的に負担が掛かりすぎている、風通しが良すぎる家屋になっているなどの場合は、倒壊のリスクが高いといえます。

2つ目は、瓦屋根などで屋根が重いということも要因の1つです。阪神淡路大震災では、重い屋根による家屋の倒壊が多かったと言われています。また、太陽光発電を屋根に乗せると、屋根に重量がかかるので、古い家の屋根には、太陽光発電を乗せることは避けた方がよいでしょう。

3つ目は、統合部分が甘いという点です。接合金物でしっかりと部材を接合していなかったり、数が少ないと耐震性が落ちます。地震が起きた場合には、家屋の柱に引き抜け力が掛かって倒壊することが多いので、特に柱と土台の緊結は重要です。

また、地域によっては、積雪による家屋の倒壊リスクがあったりするので、築年数だけでなく、家がある環境などによっても倒壊するリスクを考える必要があります。

確認すべき家屋倒壊のリスク

先にもお伝えしたように、住人がいない空き家の状態であると、老朽化は早まり、倒壊のリスクも高まります。空き家を所有しているという方は、管理の仕方は適切でしょうか。空き家が倒壊する危険がないかどうか確認すべきポイントをご紹介します。

空き家の3分の2が旧耐震基準の建物

2015年4月の日本経済新聞によると、現在の空き家の3分の2が、耐震基準が改正される1980年以前に建てられた建物であることが国土交通省の調査で明らかになっています。耐震基準が改正される前の建物は、耐力壁が足りないなどから、耐震性が低い、かつ空き家となると老朽化が進み倒壊しやすい状況だといえます。

所有している空き家が1980年以前に建てられた家屋の場合は、「耐震診断」をして、補強が必要かどうか確認することをオススメします。

老朽化した空き家の放置は命の危険も

空き家や、老朽化した家屋は、自然倒壊による住人の危険だけでなく、近隣の住人にも影響を与えます。
例えば、景観上の問題や、空き家への不法侵入者が起こした行動が原因で火災が発生したり、家屋から窓ガラスや瓦屋根が落ちて他人にケガを負わせてしまうなどの命の危険も起こりえます。

放置されている空き家の所有者の多くが、遠方に住んでいたりするので、その危険な状況を把握していないということもあります。空き家所有者の方は、今一度空き家管理の見直しを。近隣に放置されている空き家がある方は、自治体への相談などをするなどの対応をしましょう。

まとめ

いつ、どこで大きな地震が発生するかも予測できない状況を考えても、老朽化した家屋、放置された空き家への適切な管理は、いかに必要なことかよくお分かりいただけるかと思います。解体や売却なども含め検討し、先延ばしせずに考える必要があるといえるでしょう。